どこか河か池のような水場があれば…。

鬱蒼と生い茂る密林の中をさ迷い歩く。

ローチ達も、流石にあれだけの数を倒されれば俺に仕掛けるのは慎重になるらしく、しばらく姿を見せなくなっていた。

…ティアに、念の為にと持たされたナイフがここで役に立つ。

少々大振りのナイフは、草木を薙ぎ払いながら密林を進むのに重宝した。

俺に無理矢理にでもナイフを持たせたのは、トレジャーハンターとしてのティアの経験からなのだろう。

やっぱり彼女は経験豊富な俺の先輩だ。

まだまだ彼女から学びたい事は沢山ある。

俺が一人前のトレジャーハンターになるには、彼女の指導が必要不可欠なのだ。

そういう打算的な事を差し引いたとしても、ティアは必ず無事助けたい。

その想いが、こんなローチの勢力圏での単独行動の原動力となっていた。