熱くなった心と体。

俺がやっと冷静さを取り戻したのは、ジャングルを相当奥深く入り込んだ場所でだった。

…周囲には嫌悪感を抱かずにはいられない、黒い害虫どもの死骸の山。

そもそもローチという種族は肉食で、肉であれば生肉だろうが腐敗していようが死肉だろうが何でも食すほどの悪食だ。

故に体臭は強烈な悪臭である。

ローチの死骸で埋め尽くされたこの空間も、顔をしかめるほどの臭いが充満している。

「…少し体を洗いたいな…」

ティアの救出を急がなければならないが、そんな事を考えてしまうほど、俺の体はローチの体液を散々浴びて汚れていた。