あらかたの負傷兵は、軍の船に撤退しただろうか。

際限なくまとわりついてくるローチを叩き伏せながら、俺は周囲の状況を確認する。

地面を埋め尽くすほどに横たわるローチの死骸。

その光景だけでも怖気が走る。

こんな醜悪な光景からは、俺達もさっさとオサラバしたい所だ。

「ティア!俺達もそろそろ退こう!」

振り返り、ティアに声をかける。

「OK!」

一匹のローチの脳天にグルカナイフを振り下ろし、ティアも頷く。

…まさにその直後だった。

「きゃあっ!」

樹上から数匹のローチが降下、ティアの上にのしかかった!