ただ、流石にローチの勢力圏だ。

数は多い。

『ゴキブリは一匹見かけたら十匹はいると思え』

そんな言葉があるほど、ゴキブリは繁殖力が旺盛な昆虫らしい。

薬品によって弱体化はしているものの、その数に任せた攻撃に帝都軍は翻弄されたのだろう。

「頭か腹を狙え!触角を叩き切っても、奴らは動きが鈍る筈だ!」

生き残った兵士達に忠告しながら、俺は迫り来るローチ達を次々と始末していった。

ティアもまた、グルカナイフを巧みに操ってローチ達を斬り捨てていく。

彼女も戦闘を重ねるにつれ、ナイフ捌きが上達しているようだった。

ナイフによる戦闘ならば、本職である軍人をも上回るのではないだろうか。