船から飛び降り、浅瀬を走り、俺達は南米大陸へと上陸する。

ローチ達の勢力圏。

『暗黒の大陸』と称される土地。

その異名が大袈裟でない事は、上陸直後に思い知らされる事となった。

…砂浜に横たわる、累々たる屍。

幾つかローチの死骸もあるものの、その殆どが帝都軍の上陸部隊の軍人達だった。

拳銃と軍刀で武装した兵士達。

しかしローチとの戦闘経験のない彼らは、ローチの尋常でない生命力に苦戦し、とどめを刺したと思い込み、その油断から反撃を受け、次々に壊滅していったのだろう。

その証拠に、兵士の遺体に残る傷は背後からのものが多い。

確実に絶命したかどうか確認せず、不用意に背中を見せた何よりの証拠だった。