【Pollinosis】


 花粉が飛び交う春先のこの季節。
天気が良くて、そよ風が気持ちいい今日みたいな日は、お部屋の中に引き込もるに限る…。

…だって、私、花粉症なんだもん。室内でさえこんなにも辛いのだから、外なんかに出たら大惨事になりかねない。

「… …そう言う訳で、外には行きたくないんだけど…、ごめんね…?」

「 判ってるって。俺だって、そんな辛そうなお前を外連れ出そうとは思わねぇよ。」

そう言って、慰めるように私の頭を撫でてくれるのは、私の彼氏。


 そのまま彼とイチャイチャしていたいのに、この鼻水のせいで、私の手は彼ではなくティッシュを求めてしまう……。
ティッシュで鼻をかむ度に、ずびーっと、乙女らしからぬ音が恥ずかしながらも出てしまう…。彼氏の前なのにこんな有様で、本当に恥ずかしくて仕方がない。


「 ごべんね…っ、

…ごんな彼女で、本当にごべんね…… 」

鼻声になりながらも、彼に謝る私。…だって私が男なら、こんな鼻水女 絶対引くと思う。だから嫌われないうちに謝っておかないと……。

そんな私に対して彼は、

「 気にすんなって。」
そう言って、また私の頭を撫でてくれた。…そして、鼻をかみ続ける私の頭を撫でたまま、

「 …お前の花粉症、俺は嫌いじゃねぇよ? 」
そんなことを言い出した……。


「 嘘だぁ…、そんなフォローしなくていいよ…。」

「 嘘じゃねぇって、俺らが出会った時のこと覚えてない?」

「 … 出会った時?」