今夜、

 こんな恋をした…




【 night game 】


 テレビの画面に映るのはプロ野球中継。それを夢中になって観ているのは、私の彼氏。…そんな奴のとなりに座りながらも、野球に興味がない私は、向ける視線はテレビではなくケータイの画面。


「 …ねぇー、まだ終わらない? 」

「 んー?8回の裏だしなぁ、まだ終わらないけど…、」

「 えぇー… 」

奴の言葉に私からは思わず不満の声が漏れる…。すると奴は、視線をテレビから私へと視線を移してニヤリと笑って私に言った。


「 なに?構ってもらえないから拗ねてんの?」

「 なッ!? 」

…図星を突かれて思わず大声が上がってしまった。


( わかってるなら、構いなさいよっ!!)
と、内心 思うものの、意地っ張りな私はぷいっとそっぽを向いた…。


「 …違うもん。観たいドラマがあるだけだし… 」

悔し紛れにそう言うと、

「 …あー、それは無理だな。絶対 放送延長するよ?」

奴は平然とそう答えた。


「 えぇーっ!?」

奴の言葉に、私からはまたもや不満の声が上がった。…もちろんドラマが観たいからじゃない。奴が構ってくれない時間が延びるのかと思うと、気分が下がるのだ…。

そんな私に対して、奴は人事のように私の頭をぽんぽんと叩いて慰めるだけ……。

…なんか、私ばっかり好きみたいでムカつく…。