…そうして、今までずっと関わることなく過ごしてきたのに、今日は、たまたま中学の友達と集まって遊ぶことになって、男友達の一人が他の子たちも呼んできて、そのなかに彼もいた…。

夜も更けてみんな帰っていく時、彼は「送って行く」と言った。でもそれは、私だけにじゃなくて、他の子たちも一緒… 。車持ちの人は、帰りに皆を送っていくのが決まりごとだった。…でも、私の家が一番遠くて、いつの間にか、必然的に車のなかで2人きりになってしまった…。

今さらなにを話せばいいのか判らずに、運転する彼の横で、私はただ窓の外に見える水溜まりを眺めるだけだった……。


 …そんな事を思い返しているうち、ぼんやりと眺めていた水溜まりの色が青に変わった。すると車は動き出して、水溜まりは、あっという間に私の視界から過ぎ去って行った……

「 ………なんかさ、久し振りだよな。」

ふいに、彼が口を開いた…

「 ……え、…あっ、うん。そうだね… 」
ふいに話し掛けられて、私の心臓は大きく跳ねた…。

…彼はごくごく自然に話し掛けてきて、私はぎこちないながらそれに返事をしていた。私ばかりまだドキドキと意識してしまうのがなんだか悔しくて、そして、まだ彼を意識し続けている自分が少し恥ずかしく思えた……。

「 私の家、すぐそこだから…、」
そう言って、家からは少し離れたところで車を止めてもらう。

「 送ってくれてありがとう。おやすみなさい… 」

そう早口に言って、逃げるようにドアを開けて外に出た。