「しかし医者は私を引き裂きました。そして2時間の後、下腹部に眠る異物を発見し、摘出しました。医者はようやく意識がはっきりしだした私に一つの輝くものを見せました。それは珊瑚のかけらだったのです。」


珊瑚ですか。

「そうです。その時私はある風景を思い出しました。あの夜、高千穂で起こったことです。ハンドルを切りそこね、電柱が目前に迫っていました。先ほど私はいつ死んでもいいといいました。しかし死と向かい合ったとき、私は初めて死にたくないと思いました、しかし気付くには遅すぎたのです。」

「目の前が真っ白になったその時、私は一面の珊瑚礁にかこまれていました。それはとても不思議な光景でした。私のスポーツカーは蒼天のような海を自在に泳ぎ回っていました。私は死にたくなかったのにな、と呆然としていた事を覚えています。」

「気付いた時、私は自宅前で今日4度目の縦列駐車に失敗し、イライラとしていました。ラジオからは松田聖子の青い珊瑚礁が流れていました。同じような臨死体験をしたからこそ、彼女にしか歌えない歌があるのだと思います。」


最後に何かご質問などありましたらお願いいたします。

「メスを入れられたその日から、あれだけ私を苦しめた痛みはすっかりと治まりました。こういった場で聞くことではないのかも知れませんが、私の体に住み、私を苦しめ続けた物は一体なんだったのでしょうか。」


たぶんそれ普通に珊瑚だったと思いますよ。本日はありがとうございました。

「ありがとうございました。余談ですが、珊瑚礁にKYとは書かれていませんでした。宮崎、テレ朝映らないですし。」