ずっと、果枝が1番だった。

そのことに、気付かなかっただけで。


…当り前のように側にいて、俺を好きだと言ってくれる茉莉や果枝の大切さに、気付けなかっただけで。




心の中では1番でも、現実の1番の座には茉莉がいた。

その事実に、果枝は苦しんでいたんだろう。


俺は、好きな人、…果枝も、そして茉莉も、苦しめ続けている。




「…っ、そんなこと…!」


果枝はそう言うと、再び泣いていた。

その様子を見ながら、俺もまた涙が止まらなかった。