「あのこ可哀想~離婚だって。」
「それよりセクハラって。まじでアレだよな。」

可哀想…?
思ってもないくせに。おもしろがってるだけのくせに。

アタシだって―

涙が溢れそう。いますぐ走り、逃げたいのに、足がすくむ。

「先生、今のはないじゃないですか。生徒の気持ちくらい考えたらどうですか?」

「藤ケ谷…お前は関係ないだろう。…まあいい、それじゃ、神崎。」そういって担任は、逃げるように廊下を駆けて行った。

「ウケるよな、センコーだっさ。逃げてやんの。
…それより、大丈夫?」


藤ケ谷翔太。アタシは初めて彼を間近で見た。

先輩は、アタシを―守ってくれたの?