「…ゆ、美優(ミユ)。聞いてるの?」

はっとして、グラウンドに向けていた目を花梨(カリン)に移す。
朝から花梨の声は大きくて、すっごく嬉しそうだ。

「ごっめーん…!ぼーっとしてた。何か言った?」

「何か言った?じゃないよ。もぉ。大ニュース、ついに彼氏できました!」

「ふーん…。って、えー!?花梨に?なんでいきなり?」

「花梨に?って失礼な。合コンだよ、ご・う・こ・ん。相手は隣のK校生だよ。」

「まじっ!?K高校っていったら進学校じゃん。よかったね。」

「まあね~。ま、美優も理想ばっか語ってないで、さっさと年齢=彼氏いない歴、卒業しなよ。」

「ハイハイ、でも~、いい人いないもんッ。やっぱアタシはスターズ(アイドルグループ)の雪くんじゃなきゃ無理だもん。」

「そんなこと言ってないでさ、いないの?気になる人、とか――」


「気になる人―――?そんなの…いない、よ。」

なーんて、ホントはいるんだけど、ね。