小さい頃に見た空は、とても大きくて遠かった。

だから今は、小さくて近くにあるように見える。

俺達が出会った理由は、多分だけど…

これからの、この世界を守っていくためだったんじゃないかな?

色んなもの犠牲にして突っ走って、

それでも守らなくちゃいけないものがあるって辛い。

だけどきっと、それは俺達にしかできなくて、

俺達以外の誰かに出来る事じゃないんだ。

俺達には、俺達にしか出来ないこと。

それを探して行こう。

そして見つけて、手に入れよう。

何を見つけるかなんて分からないけど、あの日俺達は――

俺達は、確かにそんな約束を交わしたんだ。




世界を、あの大きな空を守るため――。




何処かの国で、小さな男の子が大きな天使と出会った。


怪我をしていた天使を、その小さな男の子は一生懸命手当てしてあげた。


怪我が治った天使は、お礼に国がいつまでも平和でありますようにと、


願いを込めて空へと帰っていった。


それ以来その国には作物が実り、水が湧き溢れ、人々の心は豊かに育まれていた。


天使の話は国中に伝わり、いつしか隣の国にまで伝わっていった。


天使の話を聞いた隣の国の国王は、恵まれたその国を支配下に置こうと戦争を起こし、


兵士を隣の国に送り込んだ。


長いこと争いごととは無縁だったその国は対抗する術を持たず、


人々は次々と殺され、いつしかその国の土には血が混ざり、水も赤く染まってしまった。


そしていつしか、国は太陽の光も注がれない、暗雲の“闇の国”となってしまった。


国を占拠した国王は、急に衰えた大地の様子に驚き嘆き、


そして土に還らず亡者となった人々の思念にとり憑かれ、今度は自分の国へと亡者達を送り込んだ。


闇の力を手に入れた国王は、常に血に飢え、“闇の国”で亡者を作り続けた。


その様子を、空から見ていた天使は嘆き、


一時“闇の国”となってしまったその国を人々の記憶から消し、国そのものを隠してしまった。


そして、生き残り逃げ続ける数人の男女に向かい、天使はお願いをした。