もう、俺の顔は涙や鼻水でぐちゃぐちゃだ。
けど、そんなこと関係なくなるほど、千幸に会えたことが
嬉しくて
嬉しくて
嬉しくて…
そして、今、こうして千幸を抱きしめられることが夢みたいで幸せすぎた。
ぎゅ…っ
俺は千幸の細い体がきしむほど、強く抱きしめた。
胸の中に感じる千幸の心臓の鼓動や、耳にかかる千幸の息。
そして何より千幸そのもののぬくもりが、「本当に千幸だ」と俺に認識させる。
吉川は教室のもう1つのドアからゆっくり出ていったのが、ドアの動く音でわかった。
けれど、今の俺には千幸しか見れない。
「七年もかかって…ごめんね…、」
俺は左右に首を振って答えた。
「そんなことより…千幸が生きててくれて…、本当に嬉しい…っ」
「日向…」
千幸は俺の背中に手を回した。
「心配かけて…ごめんね…、リハビリに時間かかっちゃって…けど、もう完治したから…」
「そっか…、良かった…本当に良かった…っ」