千幸は泣きじゃくったあと、疲れてしまったのか眠ってしまった。
…――
『心臓移植…?』
『はい…ドナーが見つかり次第、移植をしたいと考えています』
千幸のお母さんがおずおずと身をのりだして言った。
『…あの…、もしドナーが見つからなかったら…?』
すると医師は言いにくそうに答えた。
『…移植は不可能です』
『じゃあ…千幸は?』
『……』
医師は口を重く閉じたままだった。
俺は何も出来ない自分にイライラし始めていた。
――……
「千幸…」
頭を撫でると千幸はもぞもぞと動いた。
手を握ると千幸の手は驚くほど熱かった。
「千幸……千幸…っ…」
俺はいつのまにか泣いていた。
とめようとしても次から次へととめどなく流れていく涙。
千幸はこんなに暖かいのに…
千幸はこんなに一生懸命生きてるのに…
…俺は何も出来ない。
涙が白いベッドを水玉模様にしていった。