ファーストキスはレモンの味がするってよく言うけど、あたしにはそんなの分からなかった。
初めてのキスだったから、緊張しすぎて何も考えられなくて、一瞬だけど長くも思った。
キスをした後、しばらく樹に抱きしめられていた。
だけどすぐに日が落ちて辺りが暗くなり始めていたから、家が隣だから一緒に帰った。
帰ったといっても、公園はあたしたちの家から歩いて5分もかからない場所にあるから、すぐに家には着いてしまった。
だけど公園のベンチを立ち上がると、何も言わず手を差し出された。
あたしはそれが嬉しくて、差し出された樹の手をギュッと握り、短い間だけど手を繋いで帰った。
キスした後からは、お互いに何もしゃべらなかった。
それはたぶん、“幼なじみ”という関係から“恋人”という関係に突然変わったからだと思う。
気まずい空気が流れるも、幸せな空気も流れていた。
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