「今度は何だよ?」
立ち止まるも、鬱陶(うっとう)しそうに振り向いた樹は、
あからさまに早く話せと目で訴えてる。
「樹ってバイクの免許持ってないよね?」
「持ってるわけねぇだろ。まだ16になってねぇんだから」
樹は当たり前のことを話す。
けど、樹はその当たり前のことを今から破ろうとしている。
きっと無免許でバイクに乗って、友達とどこかに遊びに行くに決まってる。
「でも、原付貸してもらうんでしょ?」
「まぁな。何だよ、奈緒も乗る?」
「の、乗らないよ!」
樹は『だよな』と言ってから笑った後に、
友達に呼ばれた樹は友達がたくさん溜まってる校門に行ってしまった。
さっきまでの親切はいったい何だったんだろう……、と疑問だけが残ったあたしは、
かごにカバンを入れて、自転車に乗った。
樹たち不良が溜まっていて、すごく通りにくくなってる校門周り。
けど校門を通らないと帰れないから、できるだけ目を合わせないように自転車で通ろうとした時だった。
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