あの夏休み最後の日。




樹は情事の途中、ある言葉を言った。




その言葉は―――……




『……愛してる』だった。




これからもずっと樹と一緒にいられる保証はない。



何が起きるか分からないから、未来は予想することができない。




でも、だから面白いのかもしれない。




もし樹があたしのことを最初から好きだって知ってたら、


逆にあんなに頑張ろうとは思わないし、自分を見つめ直せなかった。




全部が全部上手くいくわけじゃないってことも。


辛く悲しいことがあるってことも。


楽しく嬉しいことがあるってことも。




みんなに出会えたから知ることができたし、学ぶことができた。




大好きな人と、大切な友達と、あたしの周りの人たちと、そして家族。



あたしはその人たちと一緒にこれから未来を歩んでく。



1人なんかじゃない。

みんながいる。




「ねぇ、ダーリン?」

「あ?ダーリン?」

「これからも、愛してね?」

「…あぁ。チューか」

「えっ、ちょ、ちがっ……んんっ」




こんなあたしを………いつまでも愛してよ、ダーリン。




「信号待ちでキスしないでよバカップル!」

「あはっ、許して紫音」




END




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