「あぁ、好きだよ」
2人ともいくら不良だからって、すぐには殴ったりしないだろうって安心してた、あたしがバカだった。
拓海くんがそう答えた瞬間に、あっという間に樹が拓海くんに殴りかかってて―――……
拓海くんは地面に倒れた。
「すぐに諦められるわけねぇだろ。奈緒ちゃんは俺にとって、大切な女の子なんだよ」
拓海くんは殴られて口の端が切れて血が出てた。
だけど真剣な顔で、その顔はあのキスされた日のときと同じ顔だった。
「殴りたいなら殴れよ。無理矢理キスしたんだから、その分ならいくらでも殴れよ」
「……」
「でも、好きな気持ちはどうにもできねぇんだよ」
………それから樹は、拓海くんに殴ることはなかった。
拓海くんはあたしに話してくれたように、樹にも自分の気持ちを全部話した。
「けど死ぬまでには諦めるから。樹が奈緒ちゃんをしっかり掴んでてくれれば、奪いはしないから安心しろよ」
「死ぬまでとかいつになんだよ。つーか、奪いに来れば?絶対渡さねぇけど」
結局、最後には2人で勝手に話し合って仲直りをしたみたいだった。
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