「ため息ついてんじゃねぇよ」
さらに低い声を出す樹に、修平くんは明らかに焦ってた。
たぶん修平くんは悪気があって言ったんじゃないんだろうなって、修平くんの雰囲気から分かった。
だけど、この状況はどうしたらいいのか分からなくて、あたしはただ睨みあってる2人を立って見てることしかできなかった。
「キスのことは本当に悪いと思ってる。でも俺が無理矢理しただけだから、奈緒ちゃんは責めないでやって」
それなのに拓海くんは動揺したりせず説明して、すごいなって思った。
あたしだっていけないところあったのに。
拓海くんにあんなに無神経なこと言っちゃったのに。
あたしだってほんとは樹にちゃんと話さなきゃいけないのに………。
「まだ好きなのかよ」
今度は樹が寂しそうな声を出すから、胸の奥がキュって痛んだ。
樹、ごめんね?
あたしがいけないんだよね。
黙ってたりなんかするから。
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