「拓海とキスしてなかった?あれって樹は気にしねぇの?」




あたしと拓海くんだけしか知らないと思ってた、夏休み2日前のキスのこと。




修平くんが何で知ってるのか知らないけど、何で今この場で言うんだろって思った。




2人の中であのことは解決したはずなのに、樹には知られたくなかったことなのに。




確かにあれから樹に罪悪感があったけど、それでも真実は言えなかった。




だって……嫌われたくない。

変に誤解されたくない。




ゆっくりと横にいる樹を見る。



てっきり樹はあたしを睨んでると思ってたけど、樹が睨んでたのは拓海くんだった。




「お前……何してんだよ?」




今まで聞いたことがないような低く冷たい声で、樹は拓海くんにそう言った。




拓海くんの表情も険しくなり、拓海くんは“ハァ”とため息をつく。




.