「……やだ」



思わず出たあたしの小さな声。




樹には聞こえてないと思ったけど聞こえてたみたいで、


俯くあたしは樹から視線を感じた。




「……やだよ、他の女の子と付き合うなんて」


「……」


「確かにあたしは特別可愛いわけじゃないし、ナイスバディってわけでもないけど、」


「……」


「樹を好きな気持ちは誰にも負けないもん。樹の彼女は……あたしがいい」




ほんとに別れるなんてことになったらどうしようかと思ってたら、


あっさりと本音が洩れた。




他の女の子と比べて特別優れてるものがあるわけじゃないけど、


唯一樹を好きな気持ちだけは誰にも負けない自信がある。




どんなに可愛い子でも、どんなにナイスバディな子でも、どんなに頭が良い子でも、


好きな気持ちだけは負けない。




樹の彼女の位置は譲りたくない。




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