「勇斗」


「え?」


「赤髪じゃねぇ。勇斗(ゆうと)だ」




てっきりご立腹かと思った赤髪………ではなく改め勇斗くんは、親切に名前を教えてくれた。




「あたしは、」


「奈緒だろ」


「え?何で名前…」


「知らねぇわけねぇだろ。樹の女で拓海が惚れた女なんだから」


「……っ」




それを言われちゃ何も言えない。


そうだった。

この人だけは拓海くんがあたしに告白したことも知ってるんだ。




かなりの要注意人物かもしれない。




「何て呼べばいい?」


「あ?勇斗でいいよ」


「分かった、勇斗ね。あたしも奈緒でいいよ」


「名前で呼んでいいの?」




勇斗はニヤリとして、何かを企んでるかのようにそう聞く。




え?どういうこと?




「名前呼び捨てなんかにしたら、ダーリンの樹がヤキモチ妬いちゃうんじゃねぇの?」




“ダーリン”とバカにしたように勇斗はそう言って、駐車場らしきところに消えていった。




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