落ちたお茶を拾い、少し気まずい雰囲気のままあたしと拓海くんは公園へ戻った。
戻ると誰も、あたしたちが戻ってくるのが遅かったことを追及してくる人はいなかった。
梨花子と修平って人は2人でベンチに座ってなんだか良い感じで。
優奈と千里と筋肉質な人はしゃがんで何かを話して盛り上がっていて。
……一方、赤髪は1人で少し離れたところでタバコを吸ってて、唯一あたしたちと目が合った。
「なんだよ。お茶かよ」
みんなにお茶を渡して、最後に赤髪に渡すとそう言われた。
しょうがないじゃん。
何買ってくればいいか分かんないもん。
それに頼まれても、8人分覚えてられる自信ないし。
「文句言うなよ買ってきてもらっといて」
「はいはい。すみませんでしたー」
赤髪に反論したくなったときに、ちょうど拓海くんが助けてくれた。
拓海くんがこんなに優しいと、さっき無理矢理キスされたなんて忘れてしまいそう――…
というか、ほんとは忘れちゃいたい。
あの事はなかったことにして、これから普通の今まで通りの毎日を送りたい。
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