もう泣かない、って決めてるのに。
何で……泣いちゃうんだろ。
あたしが弱いからなのかな。
こうやって樹が目の前にいるのに。
大好きな樹が目の前にいるのに。
抱きしめてもらうこともできなければ、抱きつくこともできない。
彼女じゃない莉加ちゃんは、ああやって樹に抱きしめられてたのに。
あたしは、1人で泣くことしかできない。
ほんとに虚(むな)しくなる。
手を伸ばせば………すぐ触れられる距離に樹はいるのに。
すごく心の距離が遠く感じる。
やっぱり、実際の距離が離れてしまうと、気持ちも離れてしまうものなんだろうか。
そうだとしたら、あたしたちはこれから………。
「また泣いてんのかよ」
………っ!!!?
そういえば、前にもこんなことがあった。
樹が寝てると思ってそばに寄ったら、実は樹は起きてた………というオチ。
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