ドレッシングが落ちたから当然落ちた音がして、樹と莉加ちゃんも当然その音に気づいた。
2人は離れて、音がしたあたしの方を見た。
もちろん、2人はあたしの存在にも気づいた。
………もう、嫌だ。
何でこうなるんだろ。
莉加ちゃんとは別に何もないって思ってたのに。
自信持ってたのに。
………信じてたのに。
「……奈緒、誤解すんな」
あたしのそばまで来た樹が、優しくあたしにそう囁く。
分かってるよ。
ほんとは分かってるよ。
ちゃんと分かってる。
きっと莉加ちゃんと抱き合ってたのには理由があって、それはしょうがないことなんでしょ?
「どうして?」
「……」
「どうして抱き合ってたの?」
やましいことがないなら答えてくれてもいいでしょ?
あたしに、知る権利はあるでしょ?
なのに樹は顔をしかめて、『それは言えねぇ』という。
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