あたしたちはその後教室を出て、樹の自転車がある駐輪場に向かった。
向かうまでに数人の女の子とすれ違ったけど、すごい見られてた。
口々に『あの子誰?』とも言われた。
あたしが他の高校の制服着てるんだから見られるのは当たり前だけど、
見られてた理由がそれだけじゃないのは分かる。
編入してきた樹はすでにこの高校で知られていて、女の子に人気があるからだと思った。
だからって別に不安じゃない。
あたしが彼女なんだもん。
「…ほら、乗れよ」
樹が自分の自転車の荷台に乗れと言う。
「うん!」
あたしは久しぶりに樹と2人乗りできるから嬉しくて、ウキウキ気分で荷台に乗った。
「ニヤついてんじゃねぇよ」
「べ、別にニヤついてないもん」
「ニヤついてんじゃねぇかよ。つーか、お前太った?」
「なっ…!」
少しも太ってないのに、太ったって何?!
重くなったってこと?!
その言葉にムカついたから、あたしは樹の背中をバシッと叩いた。
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