樹たちが改札口を通ってからは、いつの間にかみんないなくなってて、それぞれ勝手に解散したようだった。
あたしはというと、沙絢ちゃんが話があるって言うからファーストフード店に入った。
2人専用の席に座ってすぐに沙絢ちゃんは話を始めた。
「あたしね、実は樹くんのことが好きだったの。だから、この前告白したの」
案の定、樹から聞いた話についての話のようだった。
「でもね、見事に振られた。だからあたしもきっぱり諦められたの」
「……」
「告白したのも好きになったのも悪いって思ってないから」
「……」
「だって好きになっちゃったんだもん。そんなのしょうがないでしょ?」
沙絢ちゃんはそう言いながらも悲しそうな顔をしてた。
そして後に『だけどね?』と続けた。
「奈緒ちゃんのことを傷つけてごめんね?」
沙絢ちゃんはあたしが思った通り、優しくてただの恋する女の子だった。
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