紫音もどこかに行ってしまった。


あたしと樹の2人だけになってしまった。




さっきよりも涙は止まったけど、


樹の顔を見たらまた涙が出てきそうだから、あたしは2人きりになったのにも関わらず俯いていた。




だからあたしから話を切り出せずにいたんだけど、意外にも樹から話を切り出してくれた。




「昨日の夜まで、親について行くかついて行かねぇか悩んでた」



でも、その話の内容こそ意外なものだった。




どういうこと……?




「お前泣くと思ったんだよ。絶対平気じゃねぇのに平気って言うだろうし。お前素直じゃねぇから」


「……っ」


「昨日の夜、お前が泣いたら1人で地元に残ろうって決めてた」


「……っ」


「けど、よく考えたら何くだらねぇこと思ってんだって」




樹があたしが我慢してたことを知ってたことが嬉しかったし、


泣いたら1人で地元に残ろうって思ってたことを知って更に泣きそうになった。




でも、くだらねぇことって?

何でそんなこと言うの?




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