「もしかしたらしばらく会わないかもしれないし。顔だけ見ておこうって思って」
「確かにな。まぁお前のことはテレビで見るかもしれねぇけど」
「それもそうだね。てかあっちに行って新しい友達作れんの?」
「は?お前みてぇに無愛想じゃねぇから心配されなくても大丈夫」
あたしが紫音に抱きついたまま、紫音と樹は話を続けた。
相変わらず2人は反発し合っていて、それは昔から変わらない。
紫音も樹も基本あまりしゃべらないし元気な性格じゃないから、
紫音は樹を、樹は紫音を見てると自分を見てるようで、冷たくなっちゃうらしい。
けど、あたしたちは幼なじみ。
昔は3人いつも一緒で、今は3人一緒にいることはないけど、幼なじみっていう言葉の絆は確かにあった。
「どう見てもあんたのが無愛想だしね。どうせあっちの不良にケンカ売られてケンカして負けて終わりなんじゃない?」
「マジでお前うぜぇことばっか言うよな。そんなんだから彼氏できねぇんだよ」
「うるさい。奈緒いなかったらあんただって彼女できないから。奈緒くらいだからね?」
「はいはい。つーか、そろそろ2人にしてくんねぇ?その泣き虫と」
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