別に連絡がとれないわけじゃないし、会おうと思えば会える距離でもある。




けど今までのあたしたちの距離が近かったから、


ちょっと離れるだけでも、あたしからしたら大きく感じる。




“幼なじみ”っていう、友達よりも近くて特別な存在だった樹が、


“恋人”っていう、もっと特別な大事な存在になって。




あたしの中で樹っていう存在が日々大きくなっているのに、


こうやって樹が引っ越しちゃったら、あたしの心に穴がポカンと空きそうな気がした。




放課後デートだって、まだまだこれからしたかったのに。


繁華街の入ったことない場所にたくさん行こうと思ってたのに。


樹の家に彼女として遊びに行きたかったのに。




………まだたくさん、この地元で樹としたいことがいっぱいある。




育ったこの地元で、これから先も樹と一緒に成長していきたかった。




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