ほんとに今回は寝たふりなんかじゃなく今起きたみたいで、
寝惚けながらも、あたしも気になるこの格好について樹は質問してきた。
「分からない。起きたらこうなってた」
「……」
「ほんとだよ!あたしが抱きついたんじゃないもん!」
返事もしないで無言で“ほんとかよ”って顔であたしを見てくる樹。
絶対にあたしが自ら抱きついて、勝手に樹に抱きしめられる格好にしたんだって思ってる。
ほんとに朝起きたら、こうなってたのに…。
「奈緒ー?起きてるのー?朝ご飯できてるから降りてきてー」
すると、下からお母さんの声が聞こえて、
ちょっとあたしは拗ねながらも樹の腕から抜け出し布団から出た。
その後すぐに樹も布団から出た。
部屋のドアを開けようとドアノブに手をやった瞬間、
樹に『待てよ』と腕を掴まれ、後ろにいた樹の方をクルッと向かされた。
そうしたら、樹の手があたしの胸元に来た。
えっ……?
唖然とするあたしを無視する樹は、明らかにパジャマのボタンを外そうとしていて―――……
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