「欲求不満?」
何を言うのかと思えば、樹は口を開いた途端にそんなことを言い出した。
「なっ、何、言ってるの?」
何であたしが欲求不満にならなきゃいけないの。
健全な男子高生じゃあるまいし。
……って、そうか。
あたしは遠回しに、“襲われてもいい”みたいなこと、さっきまで独り言のようにペラペラと言ってたのか。
しかも、思い出せば“ラブホに行ってみたい”とか言ってた気がする。
…………うん。
あたしすごく欲求不満な女の子みたいじゃん!!!
「あ、あのね、欲求不満なわけじゃないからね?」
「嘘つけ」
「ほんとだもん。別にチューしなくたって生きていけるもん」
ここでちゃんと誤解を解いておかないと、きっと後で大変なことになる。
だってこれから先、樹に一生“欲求不満女”って思われたくない。
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