「俺が襲うわけねぇんだっけ?」
「…いや、あの」
「そんなやつじゃねぇんだっけ?」
「ち、違くて…」
「なら、確かめてやろうか?」
そう言って、樹の顔が近づいてきた。
キスされると思い目をつぶると、樹にフッとバカにしたように笑われた。
目を開けると、あたしの目の前には怪しく笑ってる樹がいた。
「何期待してんの?」
どうやらわざと分かりやすくキスしようとして、あたしをからかってるらしい。
だってそんなの、顔が近づいてきたらキスされるって思うに決まってるじゃん。
そりゃあまぁ……半分くらいは期待してたのかもしれないけど。
って、そんなこと言えるわけないんだけどね。
「つーか、お前さぁ」
え?今度は何?
樹がしゃべる度にさっきのあたしの独り言についてつっこまれるんじゃないかと思って、
押し倒されてるあたしは安心していられない。
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