なんだかんだで思考回路がなんとか回り、モデル料があたしとのキスだったことが分かると、すぐに空き教室を出た。




ダルそうに自分のペースで歩く樹を置いて、あたしは急いで沙絢ちゃんが待つ自分の教室まで向かった。




教室に着くと、さっきと同じドアの前の廊下に沙絢ちゃんが立っていた。




「あ、奈緒ちゃん!どこ行ってたの?!」


「ごめんね?ちょ、ちょっと樹を説得してて……」


「説得?」


「う、うん。そしたら、モデルやってくれるって」


「え!うそ!いいの?!」




『奈緒ちゃんありがとー!』と、沙絢ちゃんはあたしに抱き着き喜んでくれた。



喜ぶ沙絢ちゃんを見て、樹を頑張って説得してよかったって思えた。




自分の幼なじみが、彼氏がモデルになるなんて想像もできないけど、紫音がモデルだからか、そんなに違和感がない。




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