目線が少し違っても、樹とあたしの顔が近いのには変わりない。
ドキドキしてる。
胸の奥が……何て言ったらいいか分からないけど、キュンってする。
「何するか分かってんだろ?」
怪しい笑みを浮かべながらそう聞いてくる樹。
そりゃあ分からないわけじゃない。
これだけ……顔が近いんだもん。
キス………ってことでしょ?
でも、いざ“キス”って単語が頭に浮かぶと恥ずかしくなってきて、
さっきまで樹の顔を見れたのに、見れなくなって思わず顔を逸らした。
………すると、顔を逸らされたのが気に入らなかったのか、
樹は立ち上がり、あたしを窓に寄っ掛からせると………。
「ドキドキしてんの?」
ちょっとバカにしたようにそう言って笑い、顔を傾けて唇をあたしの唇に重ねてきた。
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