派手なグループにいた理香子とは特別仲が良かったわけではなかったけど、
あることがキッカケで、話すようになった。
「誰か探してたぁ?」
「……え?あ、うん」
「だれー?呼んできてあげるよ」
誰って言われてもなぁ。
教室に樹いなかったから呼んでもらうこともできないし……。
………あ!
だけど、樹と同じクラスの理香子なら、もしかしたら樹がどこに行ったのか知ってるかもしれない!
「樹を……探してるんだけど」
「樹?」
「うん」
「樹ならー……1階の渡り廊下じゃないかなぁ。さっき雪斗たちと話してたし。…あ、雪斗って同じクラスの銀髪のやつなんだけどね」
そう理香子は早口で一気にしゃべった後、
「あ!てか、あたしこの後移動教室だった!時間やばいじゃん!もう行かなきゃいけないから、奈緒またね!またゆっくり話そ!」
「……え、」
さらに早口でそう言って、筆箱や教科書を何も持たずに、ものすごいスピードで走って行ってしまった。
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