そんなプチパニック中のあたしをよそに、拓海くんはマイペースに樹と話していた。
そのうち、拓海くんに『はい』と携帯を渡され、渡された携帯を耳に当てると………
『奈緒?』
数時間ぶりの………樹の声が聞こえた。
分かれて数時間しか経ってないのに、すごい久しぶりに聞いたような感覚。
「さっきの、嘘だからね?」
『さっきの?』
「樹の友達が……言ってたやつ」
『あぁ』
「いちゃいちゃなんかしてないからね?」
『あぁ』
「だって触ってないもん」
『あぁ』
「握手はしたけど……」
『あ?』
「……」
え?え?え?
誤解されたくないから、頑張ってフォローしてきたのに………
言わなきゃいいこと言っちゃった感じ?
『握手っつった?』
「…言ってません」
『言った。つか何で握手?』
「それは…」
拓海くんが“友達としてよろしくね”って手を差し出してきたから握手したんだよ、なんて言っていいんだろうか。
.