もう握手を止めて、拓海くんとあたしは少しもお互いに触れていないのに、
「いちゃついてんぞぉ?樹くんいいのかぁ?」
「2人であんなことやこんなことしちゃってんぞぉ?」
「いやん!ハレンチ!」
不良たちは有りもしないことを言って、明らかにあたしと拓海くんと樹をからかってる。
拓海くんは、からかって騒いでる友達のところに行くと、端から1人ずつ軽くバシバシと叩いた。
叩かれた人たちは『いてっ』と声を上げ、最終的に拓海くんは携帯を持っている人から携帯を奪い取った。
「俺は卑怯な真似はしないから安心しろよ」
奪い取った携帯を耳に当て、拓海くんは携帯越しの樹にそう言った。
「樹と奈緒ちゃんの許可なく奈緒ちゃんに触ったりしないから」
「……」
「ちゃんと触るときは事前に言って、2人の許可とるから安心して」
………うん。
どこを安心すればいいのか分からない。
許可なく触ったりしないって、じゃあ許可あったら触るってこと?!
触るときは事前に許可とるって、触るときがあるってこと?!
拓海くん全然安心できないんだけど?!
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