あたしも樹にはおばあちゃん家に行ってほしいって思うし、おばあちゃん孝行してあげてほしいと思う。
だから、あたしは大丈夫。
「しょうがないことだもん。あたしは大丈夫だよ」
「ほんとに?」
「うん。それに会おうと思えば会える距離だもん」
そうだよ。
北海道と沖縄みたく、とんでもなく遠いわけじゃない。
常に会えるわけでもないけれど、でも会える距離なんだから、あたしがワガママ言っちゃいけない。
「奈緒ちゃん強いね」
「強い?」
「あたし奈緒ちゃんのこと見習おうと思う!」
千里はいきなり突拍子もないことを言い出して、あたしの両手を握った。
え、え、え?
「てか尊敬する!樹くんと本当に頑張ってね!あたし応援してるからね!」
千里はあたし以上にテンションが高いから、いまいちついていけないところがあるけど、
今のあたしにはこのくらいのテンションの方がよかったのかもしれない。
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