出棺の様子を他人ごとのように見ていた。

遺影を抱いたお母さんの後にいとこだろうか、僕たちと同じくらいの人がお母さんを気遣っていた。

親族として出席したとはいえ、料理にも口をつけず、会話もまともにしなかったので誰がどういう関係なのか全く分からなかった。



「康介くん。」

名前を呼ばれて振り返ると倉見さんがいた。

『倉見さん・・・』

「本当はこういう所、来るべきじゃないんだけど・・・
望ちゃんは特別でね。」

『ありがとうございます。』

「康介くん、全然泣いてないのね。」

『泣けないですよ。のんがあんなに笑顔なのに・・・』

「そうね・・・」


しばらく沈黙だった。

人もだいぶいなくなっていた。


「日記読んだわよ?」

『えっ・・・本当ですか?』

「うん。すごい人だったからなかなか読めなかったけど・・・

なんて言うのかな・・・
2人って運命なんだなって思った。」

『そうですかね・・・』

「あんなにお互い愛し合えるなんてすごいことよ?」