僕は入り口付近にノートを置きに行った。

最後くらいは僕がいない方がいいだろうし、親族だけでしたい話もあるだろう。

正直、親族の僕に対する非難を聞きたくなかっただけだった。

彼氏というだけであんなことしていいはずない。

お母さんにも言ってない、秘密の計画だった。



出棺のとき、みんなが棺に花とかいろいろ入れている中、僕はポケットから箱を出して指輪を取り出した。

お母さんと目が合ったので僕は微笑んだ。
お母さんは泣きながらありがとうとか細い声で言った。

君の誕生石のサファイアがついた指輪を君の細い左手の薬指にそっとはめた。

箱も一緒に棺に入れた。