読み聞かせても、君には届かなかった。
心臓は動いているはずなのに君は目を覚まさなかった。

その夜、僕は君の手を握ったまま眠った。


君の言うとおり本当にロミオとジュリエットみたいにしてしまおうかと思いながら眠りについた。




目を覚ますと笑顔の君が見えた。

『・・・・のん?』

「おはよ。」

久々に聞く君の声は弱々しくて、夢じゃないと分かった。


「こうちゃん。あたし聞こえたよ?
こうちゃんの声ちゃんと聞こえた。
でも、もう1回読んで欲しいの。」

僕は君に言われたとおり日記を読んだ。
なぜか涙が出た。


「康介くん、望ちゃんは・・・・」

倉見さんが入ってきて、君を見たとたん泣き出してしまった。

「せっ・・先生呼んでくるっ!」


そんな倉見さんを見つめる君の横顔がいつにも増して寂しく見えた。

「倉見さん、いい人だよね?」

『ああ・・・』

「こうちゃんの奥さんになってくれないかなぁ?」

『なに言って・・・』


君を見るととても真剣な顔をしていた。

「もう分かったでしょ?
あたし、もう死ぬの。」

『でも、今起きてるし・・・』
「こうちゃん。」


君はとても悲しい声で僕の名前を呼んだ。

『そんな声で呼ぶなよ・・・っ』