僕は君の病室に戻ってキャビネットの中を見た。

今までのノートと今のノートが入っていた。

夕日に照らされながら1冊目から読んだ。

懐かしさと虚しさにかられながら1番最近の僕の日記まで読んだ。

次の君のページが白紙だったらという恐怖を押し殺してページをめくった。
そこにはいつも通りの君の字で日記が書いてあった。


「最近なんだか分かるんだ。
あたしもうすぐ死ぬんだなーって。

いろいろ考えたの。
あたしが死んだ後、お母さん大丈夫かなとか、どんなお葬式かなとか・・・

こうちゃんどうなのかなとか。

ほんとはね、ロミオとジュリエットみたいにあたしの後を追って死んで欲しいけど、そんなこと出来ないから。

あたしがいなくなってもちゃんと生きてね?

そりゃあ多少は落ち込んでもらわなきゃ困るけど、落ち込みすぎないでね?
あたしはいつもこうちゃんのそばにいるから。

あたし、こうちゃんと会えて、こうちゃんの彼女になれてよかった。
世界1幸せだったよ。
こうちゃんといると、自分が自分でいられた。
わがままにもなれたし、素直にもなれた。
人を愛することを教えてくれた。

こうちゃんにはありがとうがいっぱい。

出会ってくれてありがとう。
告白してくれてありがとう。
付き合ってくれてありがとう。
わがまま聞いてくれてありがとう。
怒ってくれてありがとう。
笑顔をありがとう。
愛してくれてありがとう。

大好きを教えてくれてありがとう。


大好き。 のん」