「検査したらね・・・もう全身ガンだって。」

『うそだろ?』

「ガンじゃないのはここだけ。」

そういって君は自分の顔を指差した。

『なんでだよ・・・』


今度は君の方が冷静になっていた。

「ガンが勝ったんだよ・・・」


僕は今まで検査結果が出る度、お母さんと聞いてきた。
病気が君をどんどん蝕んでいくことも知っていた。
検査の度にガンの転移が増えていることも。

でも倉見さんに聞いたのはついこの間のことだった。
それなのに君の余命は一気に2ヶ月も減った。

僕は信じられなかった。

お母さんはこの結果を1人で聞いた。
きっと正気でなんていられなかったと思う。


『お母さんは・・・?』

「多分家・・・あたしより泣いてたし・・・」

『じゃあ学校行く前にちょっと顔出してくる。』

「うん。お願い。」


僕たちは会話もなくただ手を握ったまま時間を過ごした。
学校に行く気になんてなれなかった。