今は数学の時間。
聞いてないくらいで遅れはとらないけど
先生に呼ばれて反応しなかったのはまずい…
「東雲さん?」
「は、はい」
しかもうざい女の先生。
いったい私になんの罰をあたえるつもりですか?
「私の授業はつまらないですか?」
「めっそうもございません」
えぇ、つまらないですよ。
と答えたいところだが今はしょうがないすこしでも罪は軽くしといた方がいいのだ。
「ではなんで話を聞いてなかったのですか?」
「ちょっと考え事してて…」
もう放課後お指導室とかでいいからこの話を終わらせてほしい。
「そうですが、じゃあ東雲さんにはあの問題を解いてもらいましょう」
そう言って黒板の方を指さす。
どうやら何かの計算問題だった。
「できたら今回のことは許しますわ」
そう言って教卓に戻っていく先生。
そんなことで許してくれるの?!
と私は少し驚く。
でもまわりはすごく冷たい視線を私に向けて来た。
「あんな問題できるわけないよな?」
「しかも話聞いてなかったらなおさら…」
なるほど…
先生が私にやらせるのはどうやら難しい問題のようだ。
私は黒板の問題を見る。
「はっ?」
そのは?は難しいという意味ではない。
こんなのもわからないのという意味だった。
「どうしたの東雲さん!早く解きなさい!」
先生が私を睨みつつ怒鳴る。
怖いから睨まないでください。
今すぐ解きますから…
そして私は黒板の前に行きチョークで問題を
すらすら解き始めた。
「できました」
5分ほどだろうかやたら応用を混ぜてるから公式をたくさん使って時間がかかってしまった。
「せ、正解です…」
それと同時にみんなから「おぉ~」という声が聞こえる。
入学したばかりなのにつまずいてたまりますか。
そして私は無事学校を終えマンションに帰って行った。
もちろん陽はいないので気を使うこともない。
「一緒にご飯とか無理じゃない?」
思わず本音がポロリ。
今までなら他人にどう思われてようと関係なかったけど
今はとっても気になる私。
まぁ陽だけなんだけど…
「ってこれじゃ陽が特別みたいじゃん!!」
リビングに響く私の大きな独り言。
「ダメだ…前の自分に戻らなきゃ」
以前の他人なんて関係ない。
他人大っきらいな人間に…
「って、これじゃ陽を好きみたいじゃん!!」
たえない独り言。
言ってる自分がだんだんやになってきた…
「考えるのやめよ…」
これ以上考え続けると本当の自分を見失う気がして
私は今日の夕飯の材料を買いに行くことにした。
「何にしようかな」
こっちに来て初めて行った近所のスーパー。
週3の割合で買い物に行くことにしていた。
本当は一気に一週間分買えたら楽なんだけどなんせ2人分の材料を一気に買って
持って帰れる自信は私にはなかった。
「でも面倒だ…」
『何が面倒なの?』
「買い物がね~。って…はい?!」
私は声のした方を見て唖然とした。
な、なんで
「達也がいるの?」
そう私の目の前にいたのは達也。
私の中の要注意者リストに載っている人物だ。
そうは言っても載ってる名前は陽と目の前の人物だけなんだけど…
「で、なんでいるの?」
「真見かけたからついてきちゃった」
つ、ついてきた?
それって…
「ストーカー?」
私がまじめな顔でそう言うと達也はムスッとした顔で
「違うから」
と否定した。
「なら良かった」
私はそう言うと再び材料選びに取り掛かる。
すると達也は
「で、何が面倒なの?」
と聞いてきた。
それと同時に私の頭の上には豆電球の明かりが。
「達也ってこの後暇?」
「暇だけど?」
そう私は閃いてしまったのです。
「荷物持つの手伝ってくれない?」
達也に荷物を持つのを手伝ってもらうことを。
これでまとめ買いができるじゃない。
「いいけど」
「やっ「その代り」
私のやったという声は達也にかき消されてしまった。
「な、何?」
「真の手料理食べさせて?」
達也はすごく期待した顔で聞いてくる。
料理ね…
まぁそれぐらいならいいか。
「いいよ。このあと食べさせてあげる」
「陽さんいるんじゃないの?」
「今は帰ってきてないけど…まぁ問題ないでしょ?」
他の人家に入れちゃいけないって言われてないし…
まぁだからと言って入れていいわけでもないのだろうけど
今は陽と軽いケンカ中のようなものだし達也がいてくれた方が楽だ。
「じゃあお言葉に甘えていただきます」
嬉しそうに笑う達也。
私っていつからこんなに優しくなったんだろう?
そう思った…
それから私は1週間ではなく2週間分くらいの材料を買いマンションに戻った。
帰り道
「真…いくらなんでも買いすぎだよ」
と言いながら息を切らす達也。
やっぱり買いすぎたかな?
「もうちょっとだから頑張って」
私は申し訳ないと思いながらもそう言うことしかできなかった。
そしてエレベーターに乗り一気に部屋にエレベーターが開くと
後ろから
「すげ…」
という声が聞こえた。
「荷物はここにおいて」
リビングに案内しさっそく料理に取り掛かる。
今日のだけ3人分の材料を用意した。