「直ちゃん?」


えっ…!?


ゆっくり顔を上げると、大山君がいた。

さっきとは違う、穏やかな顔の大山君が。


「ふぇ…大山…君…グスッ」


何で泣くのよ私。


でも、もう止まらなかった。


そんな私を見て、顔をクシャクシャにして笑ってた。


「何…笑ってん…のよぅ…グスッ」


「ひでぇ顔。」


少し屈んで、零れ落ちる涙を、親指で拭ってくれた。

すっごく温かい手。

「何で…いんのよぅ…。」


「それ、俺のセリフだし。直ちゃんこそ、こんな所で泣いてたら、知らないオッサンに拉致られるよ?」


私を、小さな子供扱いした。