不可思議な周りの景色も手伝って、自分の死に現実感が沸かない。

泣き出す事も、叫ぶ事も思いつかない。

妙に頭は空っぽでスッキリしている。

『それでだ。あんたには、本来死ぬはずだった女の体に入ってもらいたい』

・・・・・・・・・はい?

『そうしないと、死ぬ魂の数が合わなくなっちゃうんだよね~』

「え、だって。死ぬはずの人の代わりに私が死んだんじゃ」

『いや、もともともう魂に力が無くなってたからね。死の環境を整えらんなくて、野球の球が当たった程度だけど力尽きたからあっちに連れてったよ』

あっち、と言って空の方を指差す。

つまり・・・天国?

『あんたとその女は共鳴してたから、体はキープしといた。だから、あっち入ってくれる?』

向こうのバスに乗り換えてよって言うくらいの軽いノリで言われた。

私の体は死んじゃって、別の女性の体に入れと?

そんなの無理!