不器用な私には、社交辞令でも彼との雑談が出来そうにナイから…。
「…ふーん、そうか。
話し中のトコ、2人とも悪かったな?」
「う、ううん…、ごめんね…」
「いや、それじゃ…」
すると願いが通じたのか、意外にもあっさりと引き下がった涼太くん。
「何か涼太…、ヘンだったね?」
「う、ん・・・」
去っていく彼の後姿を見ていると、背中を冷たいモノがツーと流れていく…。
間違いなく彼は、アノ日のコトを色々と聞こうとしていたのだと思う。
だけれどアレは“過去”であり、“現在”への通過地点でしかナイ――
過去と向き合う為には、現在の自分を受け入れていなければダメだからこそ。
まだ話せるだけの余裕など無くて、ズルいと解りながらも逃げたのだ…。
♪~♪~♪
なけなしの思考回路でそう考えていると、携帯電話の着信音が鳴り響いた。
ピッ――
「もしもし!?」
すぐに通話ボタンを押した私は、慌てて電話主も確かめずに出たけれど。
どうして、こんなにも不条理なの…?
「っ…、分かりました」
必死で感情を抑えて電話を終えると、すぐさま居酒屋を飛び出した・・・