「あ、まだいた〜」

ニカッと笑い、その男子は由美の方へ
歩み寄ってきた

由美は
「え?なんなの?」
と言った感じにオドオドとしていた

するとその男子は

「さっきはありがとねっ」
と言い、またニカッと笑った

由美は思わず

「え..?そんだけ?」
と拍子抜けた声をだしてしまった

男子の方は依然として
ニコニコ笑っている


いい笑顔だな〜
と由美は思いながらも
二人の間に生まれた変な空気を
取り消すように
「あ、あのさ..名前なんてゆーの?」
と聞いていた

由美はそれを言った瞬間
「他にも聞くことあっただろ〜
私ってバカだ〜」
と後悔した


するとその男子が

「秋沢 佑」と答えたのと同時に
チャイムが鳴り響いた

キーンコーンカーンコーン..

由美は「えっ?」と聞き返した

佑は笑いながら
「あーきーさーわーゆーうー」
と大声で叫んだ


「秋沢 佑..」
由美は口の中でその名前を繰り返した